初恋は実らない
初恋は実らない、って言うけれど。私の友達は、それを悲しいカタチで見せてくれました。彼と彼女の付き合い始めは、高校1年のとき。実際は中学の時も同じだった。その時の二人はただの友達、知り合いだった。でも同じ高校に進んで、彼がバスケット部(中学からやっていたけど)のレギュラーを獲得してから、彼女が彼のことを意識するようになったみたい。
もちろんレギュラーのかっこよさもあったけど、それよりも放課後遅くなっても、みんなが帰っても、先生に追い返されるまで黙々とシュート練習している姿にキュンとなったそう。
それは、夜の公園でも一人で練習する彼を見かけてから一段と強くなった。気になる彼女が時々公園へ行って、ジュースの差し入れしてから、付き合うきっかけができたそう。それからの二人は、本当に仲良しだった。高校生活はいつも一緒だった。アタシも彼女たちを見ながら、いつも羨ましさと「あんな風なカップルになりたい」と思っていた。
残念ながらアタシの場合は、長続きしない恋ばっかだったけど。高校卒業してアタシは東京の大学へ、彼らは地元で就職した。卒業しても付き合っていたから、このまま結婚するんだと思っていた。そして、夏休みで帰省したとき、彼女に会った。するとびっくりしたことに「彼とは別れた」って。考えてもみなかったから、なんて言っていいのか分からなくなった。で、結局あまり詳しく別れた理由は聞けなかった。
そして、大学4年の夏、お盆。突然携帯が鳴った。同級生からだった。あの彼が交通事故で病院に運ばれたそう。大急ぎで駆けつけると、同級生が集まっていて、もちろん彼女もいた。泣きそうな顔だったが、みんな我慢していた。きっと大丈夫、きっと助かる、そう信じて…。だけど、次に会った彼は、冷たく、なにもしゃべってくれなかった。私たちも彼女も3日3晩泣き明かした。最後にお棺を閉めるとき、最後の別れを言おうとした彼女の動きが急に止まった。後は、放心状態。「なんだろう」と一瞬思ったが、後は葬儀にあわただしさに紛れてしまった。後日、彼女が話してくれた。最後の扉を閉める瞬間、彼がにっこりと笑ってくれたそう。
その笑顔が本当に優しかったと。別れたけれど、心はきっと彼女に向けられていたのでしょう。